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進化の狭間を探る、『沼津港深海水族館』 [動物園・水族館]

2013年4月2日、静岡県沼津市にある沼津港深海魚水族館へ訪問。
2011年12月10日に開館したばかりで、まだ1年半も経過していない新しい水族館だ。
「深海魚」というテーマを絞った水族館というのも珍しいが、
それ以上に世界で唯一の目玉展示がある――


さて、沼津港市場の一角に深海魚水族館は建てられている。
水族館のすぐ目の前は海であり、この駿河湾が深海魚の宝庫ということ。
館内には駿河湾で捕れた魚介類から、世界の深海魚まで様々な展示がある。
本当に一部だけであるが、気になったものをいくつか紹介していきたい。


まずは入口を潜ってすぐのところ。
小学生の間で人気が急上昇中の『ダイオウグソクムシ』。
 
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さて、私が撮影したこの1匹。なにやらひっくり返っている。
この個体は常にひっくり返っているのか、足もピクピクしているので一種の危険信号なのか、このあとどうなるのか、続報が気になって仕方がない。
三重県にある鳥羽水族館では1500日以上も絶食しているダイオウグソクムシもいるので、いったい彼らはどこまでが生きられるラインなのだろうか。


続いて『オウムガイ』。
 
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古生物の話などで「絶滅したアンモナイトに似た生き物」として引き合いにだされることの多い生物だ。
アンモナイトとアンモナイトの殻が並べて展示してあるのを見たことある人は多いだろう。
しかし意外と生きたままのオウムガイを見たことある人は多くはない。
沼津港深海魚水族館に限らず、施設の規模に限らず、世界中の様々な水族館で展示されているものの注目を浴びることは少ない。ただ館内の片隅に漂っているだけ、なんてこともある。
なので水族館へ赴く機会があったら、アンモナイトのことを頭の片隅に置きながら、是非ともオウムガイを探し出して欲しい。



名前で勘違いされやすい『ヌタウナギ』。
 
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以前はメクラウナギと呼ばれていたが、諸事情により名称変更されている。
どちらの名称にしろ、彼らはウナギ型をしているだけでウナギではない。近縁でもない。
ヌタウナギとヤツメウナギという2種は、脊椎動物のなかでも指折りに原始的なのだ。
無顎類(無顎口上網)という言葉を聞いたことあるであろうか? 文字通り、顎がない。
魚にしても鳥にしてもトカゲにしてもヒトにしても、口というのは上下の顎で形成されている。ところがヌタウナギは、例えるならば円形に近い口をしている。ヤツメウナギの口はより顕著だ。
顎の発生の歴史として、数億年前に無顎類の口の後ろにある骨が向きをかえ、いずれ顎になったのないのではないかという説が有力とされている。しかし今も生き残っている無顎類は紹介した2種類だけ。
進化の流れをみるとヌタウナギは重要ではあるが、ヌタウナギは珍しい生物というわけではない。食用にもされている。
しかし沼津港深海魚水族館には、アルビノが展示されている。実に珍しい。
アルビノの魚介類が見つかる水族館などへ持ち込まれることは多いが、白ヌタウナギは初めて見た。
(お顔も拝見してみたかったが、ずっと丸くなったままであった…… )
 

さて沼津港深海魚水族館は展示室が2階に別れている。
1階は種々様々な魚介類の展示があるが、2階は1種類をメインにして構成されている。
階段をあがると出迎えてくれるのは、目玉の『シーラカンス』。
 
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入ってすぐに剥製が2匹。
奥へ進むと保存状態のよい剥製が1匹。
そして世界で唯一の目玉展示、冷凍シーラカンス。しかも2匹。
照明によるものもあるだろうが、青々とした大きな体に白の斑点、鰭(ひれ)の多さ、どこを見てもシーラカンスそのものである。

冷凍シーラカンスを間近で眺めると、真っ先に胸鰭に視線が行った。
肉鰭類(肉鰭網)らしい肉のついた分厚いさ、地上も歩けるかと見紛う力強い上腕。
他の魚類では見ることのできない、一種の「可能性」を秘めているのではと感じてしまう。

また、鰭の数そのものも多い。
保存状態の良い剥製を間近で観察するとわかりやすいが、その数なんと10基。
シーラカンスを初見で異形さを感じる人がいるが、筋肉のついた鰭とその数が大きな要因ではなかろうか。

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また外観からは分かりづらいが、背骨などを筆頭に硬い骨ではなく軟骨でできている。
首から尾まで一本の大きな軟骨の脊椎でできている。いや、脊椎というより脊柱と表現すべきか。その上、内臓を守る肋骨もない。代わりに立派な鱗などを持っているとも考えられている。

さて、このシーラカンスだが、もちろん絶滅種ではなく現生種の剥製や冷凍保存である。
そして展示されているシーラカンスの学名は「シーラカンス」ではない。
シーラカンス科ラティメリア属、と言ってもピンとこない人もいるだろう。

例え話をしよう。
仮に今この地球はネコ科の生物が絶滅ている……と考えられていて、しかし1種だけ見つかった。
それを新たに「チーター」と名付けた。しかし他に生き残っているネコ科の生物はいないので、人々は彼らを「ネコ」と呼ぶ。
この気持ち、わからないでもない。ましてやチーターと名付けられる前に「ネコの仲間だ!」と言われていては、ネコと名付けられていたら定着してしまうかもしれない。
なので色々な場面において現生しているシーラカンスを指すときは『ラティメリア』と口にすることが多い。


最後に魚介類ではなく哺乳類を1種。単孔類の『ハリモグラ』。
 
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単孔類(カモノハシ目)というのは卵を産む哺乳類として有名であるが、爬虫類や鳥類と同じく総排出腔をもつので単孔類と呼ばれている。排泄や生殖も、すべて共通の腔部で行われている。
獣弓類から哺乳類へ進化した中で、多くの面影を残す生物だ。



ヌタウナギ、オウムガイ、シーラカンス、ハリモグラ。
チョイスした動物たちからも分かるとおり『進化の狭間』というのをテーマに深海魚水族館を紹介してみた。 
主に進化の多くのところで「原始的な生物」と表現されている生き物たちだ。
だからといって彼らが今後、大きく姿を変えるようなことを目撃する機会はない。
今の姿が最適――とはいうわけではないが、人類より遙か昔から姿を変えずにいる生物たちが今になって大きな圧力もなしに急変することはないだろう。
ただ彼らを見ているだけで、「かわらない力」というものを感じずにはいられないのだ。




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