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『大恐竜展 ゴビ砂漠の驚異』 内覧会へ。 [恐竜・古生物]

明日20131026日から国立科学博物館にて『大恐竜展 ゴビ砂漠の驚異』が開催されます。その前日にあたる今日、プレス・内覧会が行われたので出席して参りました。

まず普段あまり目にする機会のない、開会式の様子を。国立科学博物館の館長である林良博氏や、文部科学大臣政務官など数名のご挨拶のあと、テープカット。

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一番左は、主催の1つであるモンゴル科学アカデミー古生物学センター所長のリンチェン・バースボルト氏。個人的な感想ですが、名前負けしていない、素敵な顔立ちをした老賢者のような印象を受けました。会期中ご講演をなさることがあるなら、是非とも参加してみたいものです。

 

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 さて、では本題である恐竜展の紹介……の前に、みなさんは昨年11月から今年6月に大阪市立自然史博物館にて開催されていた『発掘! モンゴル化石恐竜展』に足を運ばれただろうか? この度の恐竜展は、大阪自然史博物館で行われたものの大型巡回展といえます。

 しかし展示してあるものがなにもかも同じというわけではない。新しく追加されたもの、(運搬中に破損してしまい)展示されなくなったもの、骨格の組み方が変わったもの、いろいろな変化があります。

 大阪の特別展を見た方は比較で楽しめますし、そうでない多数派の方はまっさらな気持ちで化石を味わうことができます。

 

 まず比較としての目玉として、ディノケイルスを候補にあげたい。

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ディノケイルスは大きな腕だけ発見されている恐竜で、全貌は未だに謎に包まれたままである。それゆえに、今までは両腕を宙ぶらりんに脱力して展示されていることが多かった。

 しかし今回の展示は、大阪のときともちがい、他のオルニトミモサウルス類(ガリミムス、オルニトミムスなど)と似た前肢のポーズで組まれている。

 

 全身の姿がイメージしにくいほど大きな腕。本当にこのような腕の付き方をしていのかどうかは、腕以外の部分がみつかれば正しさも誤りも見直す機会が増えるのだが……もう40年以上も他の部位は見つかっていない。

 ディノケイルスについて興味をもった方は、webマガジン幻冬舎にある『小林快次 未知の恐竜を求めて』のページをお読みになってから恐竜展へ行かれると、感慨深くみられる。肩胛骨と烏口骨の癒合のあたりは、是非とも自分の目でご覧になって欲しい。

 

  ディノケイルスお隣、テリジノサウルス。今までテリジノサウルスといえば指から爪だけが展示してあることが多かったが、今回は上腕骨より上も組まれている。

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 テリジノサウルスも腕だけとはいえ、大物に入るだろう。
 テリジノサウルスも発見されていない部分が多く、近縁種からの推測に頼る面も多い。むしろ
全身骨格標本の多くは、説を支柱にして組みたてていることが多い。

 ディノケイルス、テリジノサウルスの横には、頭と首のない竜脚類が待ち構えている。公式HPでシルエット表示されている、オピストコエリカウディアである。

 

  「さて、頭はどこにくっつくでしょう?」 

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もちろん右の先……ではなく、写真の左外側にあたる。
癖がある尾をしているとはいえ、右側はあくまで下半身であり、尻尾である。
ポーズを考えるためにレプリカが作られたが、展示されているのはあくまで実骨。
だが、頭や首は展示されていない。見つかっていないのだ。
しかしこの標本の骨組みには、首から上をつけることが可能な余地(骨組み)がある。 

真鍋真先生は、「いつか発見してくれた人のために」とおっしゃっていた。
今でこそほぼ全身が見つかっている恐竜たちにおいて、 一度に全部が全部みつかったわけではない。ティラノサウルスやトリケラトプスだって、時間をかけて全身がわかってきたのだから。
いつの日か、ディノケイルスやオピストコエリカウディアも全身が復元されて、再び上野に戻ってくる日がきて欲しいものだ。

 

 さてさて、展示も大物が続いていた。
 恐竜展に限ったことではないが展覧会というのは大物を看板に持ってくることが多い。

 そういった面で、今回の目玉はタルボサウルス。書籍などで「アジア版のティラノサウルス」というような紹介を受けることもある彼であるが……様々な年齢のタルボサウルスが発見されたことにより、その研究成果はティラノサウルスにも当てはめることができるかもしれない、ということが言えます。アジア版のティラノサウルスにより、本家ティラノサウルスの理解が深まるかもしれないということだ。

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 サウロロフスの横に、タルボサウルスの全身骨格。
 そして壁の裏側にはお座りタルボの全身骨格もやってきている。

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 2種類の大きなタルボサウルスの骨格があるというのにも関わらず、図録の表紙にもなっているのは亜成体タルボサウルスの頭骨。

 

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生への名残すら感じられる、あまりにも綺麗な頭骨。その場で隣にいた見ず知らずの方と「すごい」「すごい」と言う感嘆の言葉だけで会話をしてしまうほどに。

 

前々から話には聞いていたが、小~中サイズは保存状態のよい実骨の展示が多い。実に9割が実骨の展示というのだから、中型の恐竜ですら重量感のある標本が多い(レプリカは実骨よりも軽く作れているので組み立てなどもしやすい)。

大阪でも展示されていたが、小型では15匹のプロトケラトプスの化石は、死んでも死ぬほど可愛い。

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さて、次回以降は小物などもいろいろと紹介をしたい。

 

2度目の記事を書く前に、もう一度『大恐竜展 ゴビ砂漠の驚異』 へ行くつもりであり、11月上旬になるだろう。
  ファミリーで訪れる方などは、11月4日(祝)までに行くことをオススメする。

■ 特別一般公開『V×Rダイナソー』ミニ企画展 

が、同時開催されているからだ。どちらかといえばエンターテイメントよりのミニ企画展かもしれないが。中央モニターで流れていたトリケラトプスとティラノサウルスの全身骨格が歩行する姿は見入ってしまうほど練り込まれていた。特にトリケラトプスの前足。手のひらはもちろん、橈骨や尺骨の動きにも注目してもらいたい。


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恐竜倶楽部 創立25周年式典 [恐竜・古生物]

2013810()、国内で6年ぶりとなる40度超えを観測し、東京でも37度という、今年もっとも暑い一日となりました。
この日、アルカディア市ヶ谷にて恐竜倶楽部創立25周年式典が行われました。
実行委員の私は、空調の効いた屋内で汗水をたらしながら、この夏でもっとも忙しい一日が始まったのです。 

はじめに、軽く説明を。
この25周年記念事業、会員のみが参加できる身内の集いですが、
「恐竜倶楽部に新しい風を」「恐竜というキーワードを広げていこう!」
という大御所の方々のご意見が、25周年記念式典中に多く耳にしました。
といっても、秘密にするほどのような、ご大層な集まりでもございません。怪しい集団というのは否定できませんが、恐竜好きなら誰でもウェルカムなところです。

そもそも『恐竜倶楽部』とはなんなのか? という疑問もあると思います。
日本全国に会員数二百数十名の恐竜を愛する団体、とでも申しましょうか。
詳しくは、こちらの恐竜倶楽部 公式HPをごらんください。
もしこの記事で恐竜倶楽部に興味を持っていただければ幸いです。

創立25周年とはいえ、私自身は25年前から恐竜倶楽部に加入していたわけではありません。むしろ恐竜を好きになったばかりのチビっこでした。
歴史ある恐竜倶楽部に加入して数年の私ですが……
司会を務めさせていただきました。

 

当日の参加者は70名ほど。下は中学生から、上は80歳オーバーまで。
昼の部は、講演会。
夜の部は、祝賀会。

私たち実行委員は11時に現地入りし、最終打ち合わせや準備を開始。

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あっという間に講演会開始の13時半に。当初の予定よりも参加者が多く、急遽、追加席を用意。
私は司会席でマイクを取り、今後の流れや諸注意をアナウンス。
そして初期メンバーである株式会社パレオサイエンスの代表取締役社長 中川さんに、開会の挨拶をいただきました。

 

続いて、1345分頃から講演会の開始。
(北は北海道から南は沖縄まで、遠路はるばるご参加いただいた方への敬意もこめて、講演内容はダイジェストで記します) 

講演会1人目は、会員番号28 、恐竜造形師の徳川広和先生。
題目、『世界の前眼窩窓から ~恐竜人がおくる縁~』
恐竜のフィギュアを造り続けて、そこでの人との出会いを語って頂きました。

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講演会2人目は、会員番号98 恐竜研究家・漫画家のヒサクニヒコ先生。
題目、『昭和恐竜物語』
今とは違い、昭和時代の恐竜は怪獣と似たような扱いでした。
それを地球上に実際に生きていたリアルな動物として描かれていくようになるまでの変化などを、ヒサ先生の努力と経験を元にお話いていただきました。
(ちなみに、この日は中川さんとヒサ先生と昼食をご一緒しました)

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講演会3人目は、会員番号170 長谷川善和先生。もはや、大先生とお呼びしてもよいでしょうか。
題目、『世界一をめざす山東省諸城恐竜公園』。
山東省の恐竜というと、昨年夏に幕張メッセにて行われた「恐竜王国2012」が記憶に新しいと思います。
中国やモンゴルで行われた恐竜発掘の歴史から始まり、現在の山東省の恐竜発掘事情などをお話いただきました。

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お一人50分くらい講話いただき、気がつくともう1645分。
長谷川先生の講演が終わった後、再び講師の方3名には前へ並んでいただき、盛大な拍手を送らせていただきました。 

私たち実行委員は1年ほど前から「どなたがよいだろうか?」「20周年のときとは違う人にしないと」「お盆の忙しい時期、誰ならご快諾いただけるだろうか?」という、色々な模索の果てに迎えた講演会でしたので、最後にみなさんに並んでいただいた光景は、感慨深いものがありました。

 

 

続いて記念撮影をはさみ、17時を少し過ぎた時間から祝賀会。
立食パーティーというスタイルで3時間ほど行われ、みなさんそれぞれ積もるお話や、新しい方々と親睦を深めていただきました。

私もその予定……でしたが、司会&撮影&機械係であったので、3時間ほとんど活動しっぱなしで、参加者のみなさんとお話する時間があまりありませんでした。実は食事もあまり取れておらず。

突発的なトラブル、飛び込み参加、色々あったのです。ですが動き回ったからこそ、壇上でいっぱい喋ったからこそ、充実した時間であり、人に顔を覚えて頂くことができました。役得だと思っております。

 

さて、この祝賀会ですが、会員のみなさんが色々とご用意していただいたおかげで、色々な催しが行われました。

まずは会長から、結成から間もないころを振り返り挨拶をいただき、そして乾杯。

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こちらの祝賀会も、有志により様々な出し物がありました。
16番  田村博さん、115番  本多俊之さん、413番  木村秀子さんによるジャズ演奏。
恐竜好きの医大生による、応援演舞。
恐竜倶楽部25周年記念iPhoneiPadアプリ『恐竜川柳』の披露。
恐竜倶楽部の女の子が、上野にある国立科学博物館にて結婚披露宴をしたときの映像(こちら)
恐竜倶楽部が20年前に行った旅行のビデオを鑑賞。
そして、恐竜倶楽部メンバー(尾形比呂哉さんなど)が恐竜番組に出演したときの映像などなど。

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20時半には、みなさん帰路についたり、2次会へ行ったり、それぞれ東京の夜へと消えていきました。 

 

さて、9時間にも及ぶ流れを一気に書きましたが…… 
みなさん、恐竜倶楽部にご興味を持っていただけましたでしょうか? 入ってみたくなりましたか?
少し前までは影の団体でしたが、現在、恐竜倶楽部では新会員を随時募集しております。 
気になった方は私にメールをくださっても、恐竜倶楽部の公式HPに問い合わせいただいても、どちらでも構いません。 
小さな宣伝もかねて、恐竜倶楽部 創立25周年記念式典のことをお伝えいたしました。


タグ:恐竜 古生物
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大恐竜展in丸の内2013 ~福井県恐竜博物館コレクション~ [恐竜・古生物]

『大恐竜展in丸の内2013 ~福井県恐竜博物館コレクション~』へ、
恐竜倶楽部創立
25周年記念式典の翌日に行って参りました。

開催期間が2013818日(日)までと、終了が間近に迫っているため、(さっき書き終わったばかりの)恐竜倶楽部25周年記念の内容よりも、こちらを先に公開いたします。

 

「フクイラプトルが目の前に蘇る」と書かれたポスターを東京駅前でいくつも目にしながら、私は丸ビルへ。待ち合わせの10分前に到着したのですが、すでに約束していたお二方は到着しておりました。昨日(810)ご講演いただいた徳川広和先生と、恐竜学を志す大学生さん。

 

さて、今回の展示は2つの会場にわかれております。丸ビルには肉食恐竜が5体展示。
私たちにとっての一番の目的であり目玉は、バリオニクスの全身骨格です。

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バリオニクスと聞いても「?」と思う方も多いでしょう。
実は会場にて、到着されたばかりであろう小さなお子さんが
「この恐竜スピノサウルスだよ!」
と大きな声で言っているのが聞こえました。
おしい、実におしいです。
スピノサウルスというのは、ジュラシックパーク3でティラノサウルスを倒した恐竜です。
ティラノサウルスを上回る17メートルにも及ぶ全長と、背中の大きな帆(神経棘)が特徴的ですが……バリオニクスは(スピノサウルと比較すると)どちらも控えめです。

バイオニクスはスピノサウルス科であり、全長は9メートル弱。スピノサウルスの半分くらいです。
だからこそ、「スピノサウルスだよ!」といった小さなお子さんを褒めたい。
彼はバリオニクスという恐竜を知らなかったのだと思います。そしてスピノサウルスの全身骨格も見たことないのかもしれない。しかし自分が図鑑などで得てきた知識から、最も近い恐竜はスピノサウルスだと導きだしたのでしょう。

言い換えれば、体の大きさや帆ではないところにおいても、スピノサウルス科というものを認識できる眼を持っていた、ということになります。おそらく小学生低学年くらいであろう彼は、頭骨を見せただけでもスピノサウルス科と判断するくらいの力が備わっているのだと思います。知識だけでなく、眼力というのは、研究者において大切なことです。見ず知らずの彼ですが、実に将来が楽しみですね。

 

さて、このバリオニクス。
1983年にイングランド(イギリス)で発見され、後に、ほぼ全身骨格も見つかりました。
ただ今年に入るまで、組み立てられた全身骨格をお目にすることはできませんでした。

関東においては、バリオニクスの展示は今回の丸の内が初公開。
新しく組まれた骨格だけあって、実に美しい。
大腿骨(太もも)が少し外に開き、脛骨(すね)再び内側に閉じる。
過去に組まれた恐竜は棒立ちしているものも多いのですが、今も生きている動物をイメージするとわかりますが、手足をピンと伸ばして活動する動物は少ないです。 

尻尾は上反りではなく、もちろん地面についているわけでもなく、末端にかけてゆるやかに垂れています。中型・大型の獣脚類(主に肉食恐竜)の新しい復元では、このような尻尾が増えてまいりました。
隣にいるゴルゴサウルスと比較してみると、新旧を比較してみると面白いかと。

 

ポスターで見かけた「フクイラプトルが目の前に蘇る」ですが、フクイサウルスの全身骨格がやってきているわけではありません。ヘッドマウントディスプレイを装着して、あたかも目の前にフクイラプトルがいるかのように楽しめる体験コーナーがあります。

私はそのことを知らず、
「フクイラプトルどこにいるんだ」と会場を探し回ってしまいました。
フクイラプトルは新たな説により全身骨格を組み直す可能性もあるので、いつか旧スタイルとされるかもしれない今のフクイラプトルを目に焼き付けておこうと思っておりました。

 

肉食恐竜たちが見られる丸ビルのマルキューブ広場にはカフェがあります。
ええ、心ゆくまで優雅に恐竜カフェを楽しんでまいりましたよ。
テーブル席に3人横並びになって恐竜を眺めるという、違和感丸出しの客でした。

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続いて、丸ビルから歩いて数分のところにあるオアゾでは植物食恐竜コーナー。
こちらはピカソの『ゲルニカ』の前に展示されているチンタオサウルスや、子供のアパトサウルスが見所。

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 チンタオサウルスといえば、頭骨の骨突起が特徴的であり、懐疑的な恐竜です。
「本当にこんな頭の突起をしているのか?」
「化石になる過程でなにかしらあったのではないか」
という意見もありましたが、2つ目となる頭骨も発見され同じ形をしておりました。
チンタオサウルスには今後も誇らしく顔を上げて生きていってもらいたいですね。

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続いて、子供のアパトサウルス。愛称はコニー、だったかな。
竜脚類ディプロドクス科のアパトサウルス。以前はブロントサウルスなんて呼ばれていた恐竜です。

こちらの全身骨格はワイオミング州のモリソン層で発見されたものから復元したもの。
4年ほど前にアメリカ某所にて13500ドル(当時の為替で135万円程度)で取引されていた記憶があります。その時のものか、レプリカのレプリカなのか、新しくつくられたものなのかまではわかりません。福井県立恐竜博物館では2010年後半に展示されていましたが、関東初上陸。私は実物を見るのは初めてでした。

 「どんな動物だって小さいころは愛らしい」
なんて言いますが、それは骨だけの恐竜にも当てはまること。
小さな顔、細身かつ長い首と尾、楕円形の丸い体、どれもこれもコロコロしていてかわいい。
後ろ脚を揃えて前方にピンと伸ばし、恐竜に詳しい人たちの間ですら、どういった場面のポージングか謎ですが、「かわいいならそれでいい」と許せるほどの魅力。頭を撫でたくなるほど心を惹かれましたが、展示物には手を触れてはいけません。

 

さて、『大恐竜展in丸の内2013 ~福井県恐竜博物館コレクション~』は2会場あわせて9匹の恐竜が展示されております。
そのなかで、私が気になった3匹を中心に説明いたしました。
閉会までは間もないですが、入場料などはかかりませんので関東在住のかたは足をお運びになっていただけると、楽しい時間がすごせるに違いありません。

お盆シーズンとはいえあと数日、都合が合わずに行けないというかたもご安心ください。
福井県立恐竜博物館へ行けばいいのです。

  

 
  ~ご参考までに~

福井県立恐竜博物館は、名古屋を含めた中部、大阪・京都を含めた関西と比べて、交通の便などの影響もあり関東からの来館者の割合が少なめです。バスやマイカー、または飛行機という選択肢になり、鉄道で行くことは北陸新幹線が開通するまで困難です。

しかし昨年夏にパシフィコ横浜で開催された『ヨコハマ恐竜展2012 ~福井県恐竜博物館コレクション~』は、動員・収益としても成功といえるでしょう。フクイサウルスも新しいポーズをしていて、私も心が躍ったものです。
驚いたことに館長の竹内利寿さんまで、スタッフに混じって汗をかきながら、応対しておりました。だからこそ、普段はお話をする機会の少ない館長さんと、気軽にお話できたのも良い思い出です。福井恐竜博物館の魅力が、じわりじわりと関東にも浸透しているように実感しております。

今後、福井県立恐竜博物館が盛り上がることを、いち恐竜ファンとして応援しております。


千葉県立中央博物館 『特別展ティラノサウルス 肉食恐竜の世界』 [恐竜・古生物]


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 現在、千葉県立中央博物館にて『特別展ティラノサウルス 肉食恐竜の世界』開催中である。開催中ではあるが……もうまもなく終了してしまう。2012年12月24日の祝日までだ。
 当ブログにおいて実質1つ目の記事は、取り急ぎこの特別展について書きたい。なにせ魅力的なティラノサウルスが待っているからだ。

 特別展は名前からも分かるとおり、ティラノサウルスを主軸にして獣脚類のみ展示されている(例外的にヴェロキラプトルとプロトケラトプスの闘争化石も展示もある)。
 エントランスホールのカルノタウルスに出迎えられ、少し歩いた先にある企画展示室が特別展のメイン会場。左右の壁に沿ってガラス越しに化石が並べてある。獣脚類を語る上では欠かせないアロサウルス(手・足・脳幹・上顎)から始まり、人気どころであるスピノサウルス(下顎)・ダスプレトサウルス(頭骨)、そして珍しいアリオラムス(頭骨2種)・テラトファネウス(頭骨)などが展示してあった。
 ガラス越しとはいえ一般的な大型恐竜展と比べて化石との距離が近くて見やすく、解説ボードは上下に2つ掛けてあることが多かった。大人と子供の両方の視線を配慮されてのことである。「ただ展示している」だけでなく、小さな心遣いを感じられる空間になっていた。

 そして企画展示室の中央には全身骨格が2体。アフロベナトルと、主役であるティラノサウルスである。
 このティラノサウルスには『パーフェクト・スタン』という愛称がついている。スタンというからには、もちろんティラノサウルスの標本のなかでも定番のスタン(標本番号BHI3033)がベースとなっている。
 まず、パーフェクト・スタンは第一印象ともいえる全身のポーズからして他とは異なっている。アメリカにあるブラックヒルズ地質研究所と、特別展プロデューサーである恐竜くん(田中真士さん)が練りに練った末に生み出された、とてもエキサイティングなポージングだ。
 どのような勇姿かというと、頭部を下げて尾を高らかに上げた躍動感が溢れるものである。植物食恐竜を捕らえるというよりも、ヒトを噛みつこうとしているように見えるほど。ついスタンの口へ、自らの頭を突っ込んでみたくなったほどだ。今までティラノサウルスは顔を合わせることのできない見上げる存在であったが、パーフェクト・スタンは時代の距離感まで縮めてくれた全身復元骨格といえよう。

 もちろんポーズが特徴的だからといってパーフェクトと名付けられたわけではない。あまりお目にかかれてない部位の骨まで付いた、最新型の全身復元骨格なのである。
 さて、その部位というのは大きく3つある。

 1つ目は、前肢の第三指。 
 とはいえ今までの第一指・第二指のように指が長いわけでなく、中手指(手の甲)だけであり、一般的にイメージする指とはいうわけではない(写真参照)。しかも他2本の中手骨と比べても非常に小さく、サンマとワカサギくらい大きさに差がある。肉と皮のついたイメージ図では大きな差はないだろうが、座った状態から前肢をバネにして立ち上がるという説で考える場合、少しは役にたったのかもしれない。

 2つ目は、叉骨(さこつ)。 
 烏口骨の中央上、ブーメラン状の叉骨がついている。大きさは、本物のブーメランの70%といったところだろうか。前傾姿勢のパーフェクト・スタンだととても見やすい位置にある。そのあたりも考えてのポージングであろう。
 昔は恐竜に叉骨(鎖骨)はないというのが一般的であり、ゲルハルト・ハイルマンによる1926年の著書『鳥類の起源』によって、「鳥に鎖骨があるのに恐竜に鎖骨がない。進化は逆行しないはずだ」という考えにより鳥類の恐竜起源説は否定されていた。この本は名著とされ、本に書かれていた「鳥類の祖先は偽鰐類」という考えがその後40年は支持を得ていた。
 当時から叉骨はみつかっていたものの、世界中の学者や恐竜ファンが知るほどのものではなかった。しかし今は認知されている。だが、見たことなかった方も多いはずだ。
 非鳥型恐竜であるティラノサウルスと現生の鳥類を結ぶ、叉骨。あまり大きくはない骨なのに、叉骨1つがあるとないのでは、重みが違ってくるものかもしれない。

 3つ目は、腹肋骨ことガストラリア。
 口に出して言おうとすると、危うく恐鳥類のガストルニスと言い間違えてしまいそうである。覚えやすいような覚えにくいような。
 さて、ガストラリアについてはティラノサウルスの記載者であるアメリカ自然史博物館のヘンリー・フェアフィールド・オズボーンが書いた論文に登場している。しかしその後は世間から存在を否定されたり忘れられたりと色々あったが、晴れてパーフェクト・スタンには大きなガストラリアが付いている。
 ガストラリアは、最初はほぼ真横に伸び、だんだんと斜め上へと方向を変えている。通常の肋骨よりも小さく、カーブも緩やかといえよう。さながら、かまぼこをひっくりかえしたようなラインである。
 実際のところ、このガストラリアの角度と位置というのが少し気になっている。ゴジラ型でなく平行型の姿勢が定着した現代なら、「これならなんとなくお腹を支えるのにちょうどよさそうな角度だなぁ」とパーフェクト・スタンをみていると感覚として納得してしまう。だが、ガストラリアの角度と位置というのは、ある意味ではお腹そのものの大きさを決定する主因となる。
 今までみてきた数多くのティラノサウルスのイラストや映像よりも、パーフェクト・スタンは明らかにお腹が大きい。平均的なティラノサウルス図のボディラインは肋骨の末端がそのまま閉じていったようなラインを少し膨らませた程度のものだ。もちろんイラストはイメージで描いたのもあれば学説などをもとに描かれた再現図もありお腹の大きいものもちゃんとあるが、少数派に思えた。
 ガストラリアの位置は中央というよりは下半身よりであり、胸部から腹部にかけてボディラインが膨らむように付けられていた。たしかに水平型姿勢のバランスも、胸部よりも腹部が大きいほうが立ちやすいだろう。推定される食事量などを考えれば、今まで私がみてきた絵がスリムすぎただけかもしれない。ぶっとい腹部なら肉もいっぱい入るし、ガストラリアがあることにより胃を中心とした臓器も支えやすいのかもしれない。こちらも見た目からの推測であるが、腹部が大きいということにより、早く走れるようには見えない体型にもなる。
 
 人によっては「骨が3カ所ついただけ」と言うかもしれない。
 国立科学博物館で開催された『恐竜博2011』のお座りティラノサウルスと比較しても「ポーズが変わっただけ」と思うかもしれない。
 だが多くの恐竜好きの根幹にあるティラノサウルスへの羨望に似た興奮を掻き立ててくれるパーフェクト・スタンは、生物の進化と古生物学の歴史がじっくり詰まった一体だ。

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